無痛分娩について

無痛分娩について

無痛分娩とは

無痛分娩とは
無痛分娩とはお産にともなう痛みや苦痛を和らげる方法のことを言います。

近年、お産への不安や痛みへの怖さからか、無痛分娩(硬膜外麻酔)を選択する産婦さんが増えてきています。

薬物を用いない産痛緩和法(精神サポート等)で十分な効果を得て出産できるのが一番最善ではあります。

しかし、産痛に対する恐怖心や胎児の大きさや向き、骨盤の形など分娩中に強い痛みを訴え薬物による産痛緩和を求める産婦さんがいるのも事実です。

それに対して児に影響なく痛みだけを取り除きたいと工夫改良されてきたのが、現在主流の硬膜外麻酔を用いた無痛分娩法なのです。

しっかり努責(いきみ)がないと出産できないことには変わりはないため、硬膜外無痛分娩を行っているからといって産婦さんはお産で楽をするということにはなりません。
 
すべての痛みを完全に取り除くのではなく、ピーク時のつらい痛みを取り除くことでお産に対する不安感が軽減され、リラックスしてお産に臨むことができるようになります。

分娩には、陣痛が必要ですので、当院では陣痛が強くなって、子宮口が5cm開いたころに、腰から脊髄腔の外側にある狭い区域(硬膜外腔)にカテーテルを挿入して、局所麻酔薬を注入する硬膜外麻酔法を実施しています。
この麻酔法は、最も広く使われている安全な方法であり、意識が失われないので、通常の分娩と同じように出産できます。

世界ではポピュラーな分娩方法であり、アメリカでは全分娩の60%、フランスでは50%を占めています。

無痛分娩は、分娩すべでの痛みを取り除くのではなく、最低限の痛みにおさえるものです。(ただし麻酔の効き方には個人差があります。)
無痛分娩を希望する方へ

開始時期と方法

開始時期と方法
  1. 分娩がある程度進行してきた時点で麻酔を開始します
    目安として子宮口が4〜5cm開いた頃
  2. 台の上で横になり、背中を丸くし、硬膜外麻酔のカテーテルを留置します
  3. そのカテーテルから麻酔薬を注入して、痛みを和らげるよう調整していきます

分娩中の過ごし方

  1. 原則、飲食禁止となります
    少量の水分補給はよいです
  2. 分娩後の体勢をとるまでは楽な姿勢で過ごしてください
  3. 麻酔後はトイレ歩行できません(管で尿をとります)
  4. 定期的に血圧を測定します

メリット

  • 痛み止めの効果が早く出て確実
  • 赤ちゃんへの影響を認めない(赤ちゃんへの血流と酸素量の確保)
  • 痛みが和らぐと筋肉や産道の緊張がほぐれて、お産がスムーズに進む
  • 痛みが和らぐだけでなく、リラックスできるため、母体の疲労感が少なくなり、分娩後の回復が早く、体力が温存できる
  • 帝王切開が必要になった場合でも、同じ麻酔方法で行える

デメリット

  • 痛みを和らげる効果には個人差があり、希望通りの効果が得られない場合がある
  • 麻酔効果が強く表れ、いきみが感じられない場合、子宮収縮が弱くなり、陣痛促進剤の使用や吸引分娩が選択される場合がある
  • 神経障害(感覚異常)の危険性《足の感覚が鈍くなり足に力が入りにくくなる、尿を出しにくい》
  • 分娩中、低血圧になりやすい
  • 頭痛が起きることがある
  • 局所麻酔薬の誤注入による危険性(血管内→くも膜下→広範な麻酔効果)
  • 感染、出血の危険性
  • 異物混入の可能性

お産の立会いについて

立会いの基準は、普通分娩に準じます。(夫もしくは実母のみ)

緊急時体制について

当院では入院患者様の病状、急変時に備えた緊急体制を行っており
安心して無痛分娩を行える以下環境を整えております。
  • 緊急時は速やかに医師が対応し診療を行います。
  • 夜間において常時、看護職員を配置しています。
  • 下記病院との連携を行っています。
  • 富山大学附属病院 厚生連高岡病院 など

私たちは産婦さんと助産師が信頼関係を築き上げ、納得のいくお産ができるのが一番よいと考えています。
ただ、お産に対するイメージ、痛みに対する不安は個人差があります。
よって、どうしても痛みに対する不安をぬぐえない産婦さん、痛みが嫌だからお産は嫌だと思っている女性の方には、ぜひ硬膜外麻酔無痛分娩という方法があるということを知って安心してほしいです。
当クリニックではお産の途中でも状態によって硬膜外麻酔無痛分娩に切り替えることも可能です。
お気軽にご相談ください。

当院の分娩総数における無痛分娩の割合

2011年 平成23年 1.5%
2012年 平成24年 5.5%
2013年 平成25年 10.5%
2014年 平成26年 8.1%
2015年 平成27年 11.3%
2016年 平成28年 10.3%
2017年 平成29年 8.8%
2018年 平成30年 13.1%
2019年 令和1年 11.7%
2020年 令和2年  22.8%
2021年 令和3年 19.8%
2022年 令和4年  21.6%

 

分娩取扱実績

集計対象期間 2022年1月1日 ~ 2022年12月31日
全分娩取扱数       263件
非無痛経膣分娩件数    155件
無痛分娩件数         57件
帝王切開分娩件数     51件

注意事項

ご希望があっても状態による麻酔が入らなかったり効果が十分に得られない場合があります。
ご了承ください。

予定外で無痛分娩に切り替えることも可能な場合もありますが、対応できる日に限りがありますので、心配な方は計画無痛分娩もございますのでご検討ください。